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僧帽弁閉鎖不全症の術後の経過・変化について(心臓の変化について)

僧帽弁閉鎖不全症のため、左心室・左心房の間の「弁」がうまく閉じずに血液が逆流し、心臓が全身に血液を送り出すために過活動となって肥大、結果として心臓が気道を圧迫することで咳をするようになって約2年。

毎年の狂犬病予防接種・フィラリア検査の際に定期健康診断のようなものをしてもらっていたのですが、そこで心臓に雑音がすると「早期発見」をしてもらっていたため、比較的早い段階から心臓のサポートをする薬を飲むことが出来たため、初期の頃は進行を緩やかに抑える事が出来ていました。

投薬開始から1年弱、今から2年前の冬の日に急に咳込みだし、慌てて獣医さんへ行きました。
早目の投薬で心臓が肥大しないようにと祈っていたものの、徐々に病気は進行してしまい、心臓が若干ではあるけれど大きくなったことで気道が押されている事・気管虚脱という呼吸器の病気が刺激されている事を告げられ、薬の量が増えることになりました。

当時お世話になっていた獣医さんは、結婚してた時に暮らしていた場所からは近いものの、引っ越し先からはかなり離れてしまう上に幹線道路沿いなので何かと混むため、仕事を終えて病院へ向かうにも平日は診察時間に間に合わないことから、今お世話になっている獣医さんへ転院しました。

そこでは「呼吸器」の専門医がいるとのことで、すぐに仁くんは専門の先生から診ていただき、そこで初めて『僧帽弁閉鎖不全症』についての詳しい説明を受けました。
(以前かかっていた獣医さんでは、まだ初期と言う事もあり詳しい事は教えてもらっていませんでした)

以前通っていた獣医さんと「基本的な見立て」は一緒で、心臓が少し肥大して気管を圧迫したことが咳の引き金ではあるが、あくまで一時的だろうとの通り、この頃は咳込むことは月に1~2回程度で、咳き込んでいる時間も短いものでした。
そして、投薬量を増やすよりも「心臓をサポートする別の薬」の方が有効性が高いという症例があると説明を受けて、薬の種類が変わりました。

朝・晩の1日2回、「エースワーカー」という薬を2錠に増やして飲む予定から、「ピモベハート」という薬を1錠ずつ飲むことに変えて間もなく、肥大した心臓が若干小さくなって咳き込むことがなくなりました。

薬が仁くんには合ってくれたようで、それから1年近くは心臓はとても安定して変化することなく、投薬も「朝晩1錠」のみだったため、月に5,000円程度で済む期間が続きました。

特に発咳もなく、2か月に1度の定期健診時に「若干」ではあるが心臓が肥大してきている事が分かり、薬の量が「1.5錠」に増え、その後に肥大が続くことからもう一種類「アムロジピン」という血圧をコントロールする薬を追加して飲むことになりました。

これが功を奏し、そこから半年近くは心臓は落ち着いてくれていたのですが、その後急に咳が増えだして心肥大が進行。
朝晩、それぞれの投薬時に「ピモベンダン」を2錠「アムロジピン」を0.5錠に増やして様子を見ましたが、肥大と咳が止まらなくなり、昨年末に急激な悪化を防ぐために「利尿剤」の投与も始まりました。
この頃から毎月の投薬料がぐんと増え、1万3千円程度かかっていました。(別途、検査にかかる費用もあるため、毎回2万~2万5千円くらいの支払いでした。)

利尿剤を使う事で、トイレの回数を増やして水分を体外に押し出すことで、心臓が体に送り出す血液量を減らせる = 心臓の負担を減らすことを目的としていますが、利尿剤は腎臓への負担があるため「一時的」に使うという緊急対応での使用。
また、気管虚脱も心臓の肥大に刺激されて悪化したため、ネブライザー治療などにもしばらく通いました。

これが功を奏して、咳が落ち着き心臓のサイズは変わらないものの肺水腫の危険性のある波形が落ち着いたことから、昨年後半に一度利尿剤を中止することが出来ました。

ところが、落ち着いたと見えた心臓が急激に悪化をしだしたのが昨年末。

激しい咳の発作で緊急で病院で診てもらい、そのまま酸素室で呼吸を確保するための入院となりました。
この時点で、心臓の肥大がストップ・心臓検査の波形図が落ち着けば「心不全」の手前で済むため、心臓手術ではなく薬でコントロール可能であることから、一時的に利尿剤を追加してでもなんとか制御できるように…と出来る範囲での投薬や入院をしての管理をしてもらったのですが、残念ながら仁くんの心臓は今年に入ってからの3か月でダッシュするかのうように急激に悪化しました。

あっという間に「心不全」を起こして「肺水腫」にかかり、心臓はどんどんと大きくなって気道をより圧迫することで咳が止まらなくなりました。

僧帽弁閉鎖不全症に罹ったワンちゃんであっても、全てが仁くんのように進行するとは限りません。
仁くんも初期の頃は全く進行せず、生涯「薬のサポート」は必要なものの、緩やかな進行を保てると私自身も思っていました。
実際に、投薬量が増えずに寿命を迎える子もいると聞いています。

肺水腫を発症する状態まで病気が悪化してしまうと、平均余命は6カ月。
僧帽弁閉鎖不全症は投薬では「治療」はできず、あくまで病気を楽にするためのサポートであるため、積極的な治療となると「手術」による僧帽弁の再建手術をすることになります。
とはいえ、手術そのものがかなり体に負担もかかりますしリスクがありますから、ステージに応じて「手術適応」のタイミングを見ての選択となるそうです。

今回、仁くんと同じタイミングで手術をした飼い主さんたちと面会前の待合室で話をする機会がありましたが、病気の治療は手術しかないと聞いて早いタイミングで手術の予約をしようと思って手術先の病院での検査をした結果、まだ状態がいいため適応外で投薬でいいと言われ、悪化するまでは手術を勧められなかったと教えてもらいました。

手術をすることで「僧帽弁」は回復するため、僧帽弁閉鎖不全症自体は病気発症前と同じくらいまで改善して肺水腫も起こすことはなくなりますが、初期の時点ではなくある程度進行して「手術しか道がない」となった時に選ぶくらいに、小さなワンちゃんたちにとっては負担の大きな手術なんですよね。

仁くんは検査を受けた後で、緊急性が高いと判断されて「緊急手術枠」に入れてもらえました。

VHS
CTR

▲手術前の心臓のサイズ

心臓のサイズを測定する2つの画像ですが、上の「VHS」というのが心臓の大きさを表しているものです。
仁くんはこの当時「14.1」と測定されています。
VHSは「10.7」を上回ると心肥大の状態と言われ、「11.5」を超えると呼吸をするための気道を圧迫して苦しい状態にあるそうですが、仁くんはそれをはるかに超える『14.1』というサイズまで心臓が肥大していました。

下の「CTR」というのは、胸の中での心臓の割合を示すもの。
CTR値が「60%以下」が正常なのに対し、仁くんは『82.8%』なので、胸の中で心臓が占める割合がかなり大きくなっている事が分かります。

これ以外に逆流を示すモザイク図や、心電図や血圧、大動脈比や波形などのさまざまな検査結果から緊急度を含めて検査結果が分かるのですが、仁くんの診断結果は以下の所見でした。

– – – – – – – –
病状は,重度の僧帽弁閉鎖不全(MR)を主病態とする心臓弁膜症です。
すでに血行動態は破綻し,心不全状態にあります。
僧帽弁の形態や血行動態は著しく不良で,現時点においても,肺水腫,運動不耐,失神,突然死(左房破裂)などが発生(再発)し得る危険な状態です。
比較的短期的に心不全症状の再発に至ったり,状態のコントロールが難しくなる可能性があります。
積極的に内科治療を行っても長命を望むことは困難な状況で,心不全により生活の質が極めて低下した状態にあります。
– – – – – – – –

その中でも「突然死(左房破裂)」をいつ起こしてもおかしくないと判断され、通常の手術枠(約1か月後)までは持たない可能性が高いと判断されての緊急枠でした。

* * *

VHS
CTR

▲手術1週間後の心臓のサイズ

心臓のサイズ測定であるVHSは、手術前の『14.1』から『11.8』へとうーんとサイズダウンしているのが分かります。
とはいえ、仁くんはかなり肥大していたのでまだ基準値よりは大きい心肥大の状態ですし、気道も圧迫しているサイズではありますが、明らかに咳をする回数が減っています。

胸の中で心臓が占めている割合である「CTR値」も術前の『82.8%』から『66.4%』へと大幅に縮小!!

とはいえ、まだ心肥大の状態ですから投薬は必要です。

手術前に処方されていた心臓サポート薬・血圧の薬・利尿剤に加え 肺血管拡張剤が追加されています

術前に飲んでいたのと同じ薬(1回の量は若干減りました)に加えて、人工心肺を使った事で肺をサポートする薬が追加され、今も朝・晩の投薬は欠かせません。

先生の話では通常1~3か月は現状と同じ薬を使い続け、少しずつ薬を減らしていき飲まなくてよくなる子もいれば、心臓のサポート薬のみ少量を続ける子もいるようで、仁くんがそのどちらになるかはまだ分かりませんが、いずれにしても薬はだんだんと減っていくと思われます。

* * *

心臓のサイズも去ることながら、一番変化が分かるのが「心臓の中での血液の逆流」です。

術前-モザイク図
術後-モザイク図

僧帽弁と呼ばれる心臓の弁がもろくなって壊れることで、通常逆流しない血液が逆流するのがこの病気の症状で、逆流がある場合は上の画像のように逆流している血液が「赤や黄色」で示されます。

弁の修復・再建を行った後のモザイク図は、はっきりと違いが分かるほどに「赤や黄色」の逆流がほとんど見られません。
(完全な逆流がない訳ではありませんが、ほぼ逆流はない状態に戻っています)

逆流することで心臓が頑張って働いて肥大するわけですから、逆流しない = 頑張らなくていいことから、この先ドンドンと心臓のサイズも落ち着いてくると考えるだけでホッとします。

術後検査の結果として、新潟の先生宛にもらった資料(コピーを取って飼い主さんは保管してくださいと言われているもの)によると、仁くんの状態は以下のような診断になります。

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検査所見
●身体検査:心拍数120bpm,心雑音は聴取されなかった。
●心電図検査:洞調律(呼吸性不整脈)と判定された。
●血圧検査:164/107(130)mmHgと判定された。
●胸部X検査:心陰影サイズは,VHS11.8 v(参考値:VHS10.7 v未満),CTR65.4%(参考値:CTR60%未満)であり,著変は認められなかった。
●心エコー検査:僧帽弁でわずかな収縮期逆流モザイクが認められた。三尖弁で軽度の収縮期逆流モザイクが認められた。大動脈弁でわずかな拡張期逆流モザイクが認められた。術前に認められた心拡大や 心機能異常は改善した。

診断
①僧帽弁閉鎖不全(MR)(わずか,術後遺残したもの)
②三尖弁閉鎖不全(TR)(軽度,粘液腫様変性による)
③大動脈弁閉鎖不全(AR)(わずか,粘液腫様変性による)
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いつもお世話になってるセンセーが 聴診器でお胸の音を聞いたでちけど 全然違うでちね~って ニッコリしてたんでちよ!

検査結果と定期通院のお願い、薬の処方等の継続や引継ぎなどを退院翌日に仁くんと一緒に「いつもお世話になっている主治医の先生」行ってきた際に、先生が聴診器で心臓の音を確認してくれましたが

音が全然違いますね!
手術してもらって、ヨカッタね!

と仁くんの頭を笑顔でナデナデしてくれて、思わずウルウルしてしまいました。

心臓の音は本当にきれいになり、負担が減っているのは聴診器をあてなくても分かるくらい変化していると実感しています。
仁くんは私にくっついて寝ているのですが、心臓が少しずつ大きくなり出した頃から脈打つ音に加えて、ザーッという雑音が聴診器がなくても外に漏れ出るていました。

退院してきてまた隣で寝ている仁くんの胸の音が聞こえるのですが、おっかないくらいドクンドクンという音(厳密にはドクンドドッドクドドド…と一定ではなく乱れていました)がしていたのに、音そのものが小さく規則正しいものになりました。
まだ不整脈は残っているとはいえ、心不全状態だった当時と比べたら全然違います。

またこれからも経過観察・診察と検査は継続で行う必要があるので、変化については検査後にお伝えしていきたいと思っていますが、顕著に違いが現れた部分だけですが、術前との比較をご紹介させていただきました。

仁くんと同じ病気が進行していて、手術も考慮されている方の何かのお役に立てれば嬉しいです。

ではでは、術前・術後の変化はここまでにします!
長いブログでしたが、お読みいただきありがとうございました。

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