早くもあり、長くもあった、不思議な3ヵ月が過ぎました ~仁くんの旅立ちから季節が一つ移ろいました~

梅雨入りして一気に気温も上がって、長袖ではもう暑い季節。
もう夏の入り口という感じですね。
先日、我が家の「かわいい担当」だった仁くんの3回目の月命日でした。
仁くんを神様の元にお返しした時には、まだスノータイヤを履いていて、病院に向かう朝の高速道路ではハラハラと雪が降っていたっけ。
ちょっとずつ日が長くなるのを感じ始め、じっと身を固くするような寒い冬から春へと移ろい出した柔らかい季節に、私は仁くんとお別れしました。
そして今、春を飛び越えて夏を感じる季節。
コートを脱ぎ、長袖が半袖になって、一つの季節を飛び越えるくらいの時間が過ぎたのか…と、なんだか不思議な気分です。
3ヵ月。
仕事や勉強、やらなくてはいけない様々なことで慌ただしく、あっという間に過ぎたはずなのに、なんだかとっても長い3ヵ月だったような感じもしています。
まだ、3カ月なんだ…という感じ。
いつの間にか、仁くんのいない日々にも慣れてきたけれど、ふとした瞬間に「会いたいなあ」という思いがこみ上げることがあります。
でもね、その頻度も前ほどではなくなってきて、それが嬉しいことのはずなのに、そんな自分にショックを受けたりして。
感情は上がったり下がったり。
これがまさに”グリーフ”というものなのね。
ほんとにもう!!複雑なんだから。
* * *
ギンちゃんと仁くんは、私が生きるための「糧」のような存在でした。
2魂がいてくれたから、私は絶望の中にいたときにも生きることを諦めずにいられました。
別居、離婚と、人生の大きな痛みを感じる中でも、ずっと共にいてくれた「戦友」のような(表現が難しいけれど)存在。
だから、仁くんやギンちゃんがいなくなるというのは想像がつかなくて、仁くんが突然旅立ってしまい、本当にしばらくは途方にくれました。
自分の生活を支え、生きていく力になる「3本の柱」があったのに、1つが突然抜け落ちてしまって、どうやって立てばいいんだろう?という感じというか。
犬の持つ時間は駆け足で、人間よりもはるかに早く年を重ねることは「頭では」分かっている。
それでも、1秒だって長く一緒にいたいと願っていました。
* * *
仁くんは小さな頃から「気管虚脱」と言われ呼吸器が弱く、7歳の時に心臓病が見つかりました。
投薬治療を続けていましたが、心臓の病気は進行し手術が必要なほど悪化。
11歳の時に心臓の手術を受けることができ、その後は心臓の不調は全くなくなりました。
そのおかげで、手術から4年という時間を一緒に過ごすことができました。

術後も心臓の定期健診は続けていましたが、大きな変化や気になることはなく、薬も飲まずに過ごせていました。
でも、亡くなる少し前に「心臓が少し肥大している」ということが分かり、最後は突然の心停止。
何の前触れもなく、仁くんとお別れすることになりました。
手術をしなければ、いつ心臓が破裂してもおかしくないと言われるほどの状況から、4年もの間の「当たり前の日々を紡げる延長時間」をもらえました。
3魂で過ごす「何でもない毎日」は宝物のような日々で、たくさん幸せな時間を過ごせました。
いっぱい笑って、いっぱい抱きしめて、いっぱい大好きを伝えられました。
幸せな日々を失うことが本当に怖かった。
いつか見送る日が来るんだと想像するだけで震えてしまい、私はどうなっちゃうんだろう?と怖れと不安でいっぱいでしたが
良くも悪くも、物事が起きてしまうとそれに折り合いをつけていくもの
なんですよね。
どんなに悲しくても、どんなに途方に暮れても、生きて行かなくちゃいけないから。
生きることは、待っていてくれないから。

仁くんが亡くなってから、恐れていた『ペットロス』の状態になりました。
激しいグリーフに飲み込まれて、後追いしたくなる気持ちを抑えることがやっとという状態がしばらく続きました。
眠れず、食べれず、思考も停止してしまった日々。
あまりに苦しくて「なんとかこの状態を抜ける方法はないだろうか?」と、短期間で十冊以上の『ペットの死』『ペットロス』『スピリチュアル』に関する本を読みました。
悲しみから抜け出す「何かのきっかけ」「何かのヒント」が欲しかったんです。
でも、すぐには楽になんてなれなくて、何も力の入らない日々をただ繰り返すように積み重ねていたら、少しずつ悲しみの角が丸まっていき、気がついたら大きなグリーフからは立ち直ることができました。
立ち直らなくちゃ!と思うこともできないくらい、悲しみが深くてどうすることもできませんでした。
身動きも取れず、思考して何か動き出すこともできず、ただ襲ってくる悲しみに涙し、罪悪感や後悔を感じてもがき、時折懐かしい記憶をたどっては嗚咽し、感情を抑えることができなかったので、ひたすら感じ続けていました。
感じたくないのに、感じることを抑える力も湧かないというのが正直なところ。
でもね、今になって思うと「感情を抑えなかった」「ひたすら感じ尽くしたこと」が、立ち直るのを早くしてくれたと思っています。
感情は、感じきると抜ける性質ですものね。
同時に、たくさんの人の優しい支えの手を掴み、甘えさせてもらいました。
周りの人の優しい支えの力があったことも、立ち直りの大きな原動力になってくれました。
そしてもう一つ、どうしようもなくて本を読み続けていた時に「同じような悲しみを体験した人の話」が、優しい希望の光を届けてくれました。
ペットロスの中にあった人は皆、立ち直った後で、
「今は立ち直るなんて無理だろうと思うけれど、それでも大丈夫だよ。ちゃんとペットロスからは回復するよ」
という言葉を届けてくれていました。
その言葉はとても力強く、勇気をくれるものでした。
『時間薬』という言葉がありますが、時間というのもグリーフから立ち直っていくための一助になってくれました。
人によって「お薬のように効くまでの時間」というのは異なるものだから、時間が短い人も、長い時間が必要な人もいるでしょう。
その長さに「いい・悪い」はなく、早く立ち直ったから愛情がない訳でも、長く悲しみと共にあることがいけない訳でもありません。
グリーフからの回復は、人それぞれです。
ただ、深くて長いグリーフの沼に落ち込んだままであったとしても、私たちはしなやかに立ち直る「レジリエンス」の力を持っています。
グリーフからは、時間がかかっても立ち直っていくことができますから、焦らずに悲しみと共に過ごして大丈夫ですから、ね。
* * *
病的に感じるような激しい悲しみは、時間とともにゆっくり薄まり、いつしか上手に付き合い方を見つけることが出来ていました。
グリーフから「立ち直った」と書きましたが、グリーフは「なくなることはない」のだとも思っています。
きっと、愛しているから、なくせない。
深く愛していたから、悲しみはずっと、小さく自分と共にあるのだ、と。
立ち直った後も、愛する命のことを胸の中の大切な場所にそっと置いて生きていく。
そしてその愛する命は、どんなに願っても「今の肉体をつけている間」は、もう会うことも触れることもできないことに、キュッと悲しみを感じたりしながら。
でもね、その「キュッと感じる悲しみ」は、きっと愛のカタチの一つ。
だから悪者なんかじゃなくて、むしろ誇らしい痛みなのかな、って。
そして、時間をかけて少しずつ悲しみは凪いでいって、いつしか愛おしく懐かしい「思い出」として話せるようになっていく。
思い出してその命のことを話すときは、きっと笑顔。
ほほえましく思い出す際には、まるでその命が「今ここ」にいるかのように、くっきりとしていて。
亡くなったら終わりなんてことはなくて、亡くなっても「いつもと同じように」ハッキリと、いつだって、思い出すときにはきっと、その命は『そばにいるのだろう』と思っています。
これまでが「第一章」だとしたら、これからの関係性は「第二章」ということになるのだろうけれど、でもやっぱり…
会いたい
触れたい
抱きしめたい
何でもないあの日を取り戻したい
って思うものです。
無理だと分かっていても、ね。
あっという間のような、でもとてつもなく長かった、不思議な3ヵ月が過ぎ、仁くんとの「第二章」の付き合い方にも少しずつ馴染んできました。
亡くなってすぐの頃は、写真や動画が見れなかったのですが、ようやく泣かずに写真を見れるようになりました。
ううん、写真を見て「かわいいなぁ」「この時にこんなことあったよなぁ」と、ふっくらと笑えるくらいになりました。
ふふふ、って笑えることがとっても嬉しい。
きっとずっと、愛おしい存在であり続けるのでしょう。
永遠の「かわいい担当(男子枠)」であり続ける仁くんは、いつだって私の最高の宝物です。
* * *
仁くんが教えてくれたこと、届けてくれたこと、気づかせてくれたこと、身をもって学ばせてくれたグリーフケアやペットロスのこと。
勝手に湧き上がる複雑な感情やグリーフの心理過程、亡くなった命を思い出すときに起こる様々な反応や、死別という理不尽な状況の中にあるときに望むケアやコミュニケーションなど、仁くんが私に「最後のプレゼント」として
グリーフケアをお勉強してるんだから、たくさん刈り取るんでちよ!
と言って、学ばせてくれたものがたくさんあります。
なかなか腰が重くなっていて、書きたいと思いながらもペットロスのことやグリーフとの折り合いのつけ方などをかけずにいました。
そうそう、仁くんの病院の先生との話だとか、動物医療グリーフケアを共に学んでいる仲間からの助けのことや、私が受けたカウンセリングのことや、仁くんを見送るまでの話とか…
いっぱいあるので、書けることから少しずつ書いていけたらいいなと思っています。
私がグリーフの中にいた時に、同じようにグリーフを体験して乗り越えた人の言葉が優しい希望の光になったように、私も誰かのグリーフの側にいる力になれるように、と。

んもーーー。
しっかし、仁くんはかわいいんだから!!(メロメロ)
お空の暮らしは、どう?
元気にしている?
先にお空で暮らしている、はなちゃんやプルおじーちゃん、キコやラコと一緒に「食う・寝る・遊ぶ」な毎日を満喫してる?
いつか私がこの肉体を離れる日がきたら、その時にはお迎えに来てね。
それまでは、違う国で違う世界を見ながら暮らす中で見つけた「とっておきの話」を集めておくから、再会した時には、お互いが見てきた「とっておきの話」を届け会おうね。
また、ギュッと『魂ハグ』しようね。
その日を楽しみに、私はこの肉体がある間、私の人生を精一杯に生きるからね。
仁くん、大好きだよ。
愛する仁くん、またね。